トワくんとダイチくんがおにぎりを口に運びながらしゃべっていると、セイが彼らを睨みつけた。

「最近知ったばっかのくせに軽々しく朱里を語ってんじゃねぇぞ。俺は中1の頃から朱里を知ってるし」

「そんで、つい最近やっと口きいてもらったんだよな。『どいて』って」

 くすくす笑うアカツキを鋭い視線で一瞥し、セイは私に向き直る。

「ちィ、お前、もともと朱里と知り合いだったんだろ」

「え、ううん。さっき初めましてだったけど」

 雷に打たれたようにセイの顔が歪んだ。卵焼きを頬張っていたレミがふふっと笑う。

「アカツキくんのお姉さん、きっとほだされちゃったんだね。ちーちゃんは和み人だし」

「待ってレミ。なごみびと、ってなに?」

「え、人を和ませる天才?」

「そんな驚いた顔で聞き返されても……」

 ひとり黙々とお弁当を食べている高槻くんの横で、ダイチくんがおにぎりを持つ手を止めた。私とトワくんを交互に見る。

「知紗ちゃんはいじりたくなるタイプだよなぁ。トワと同じ匂いがする」