キミが泣くまで、そばにいる


「へあっ!?」
 
あんぐりと口を開けている私を見て、微笑み王子はまた吹き出す。

「あははは、『へあっ』って。なんだその奇声」
 
また頬が熱くなった。
 
この人、本当によく笑う。可愛い顔でそんなふうに笑われたら、たいていの女子はイチコロだ。

「はは、冗談だって。アカツキでいいよ。知紗」
 
臆面もなく名前を呼び捨てにされ、頬が燃えた。
頭上から注ぐ太陽は優しいのに、顔がやけどしたみたいに熱い。
 
と、いきなり左から伸びてきた手が、私のお弁当からカラアゲを奪い取る。

「あ、私のおかず!」

「そんなわけで、残念なちィに質問なんだけど」
 
私の大事なたんぱく源をもぐもぐと噛み砕きながら、星野彗は人差し指をぐるりと回した。

「ここにいる5人のうち、だれが一番タイプ?」

「……はい?」

質問の意味がわからずぽかんとする私に、金髪美形は「だからぁ」と続ける。

「俺ら5人のなかで、付き合うなら誰がいい?」

「5人のなかで……?」
 
向かいのベンチに目をやると、見計らったように星野彗が説明を始めた。