キミが泣くまで、そばにいる



「俺もチーコが転ぶと思ってた。レオも自分のクラスに賭けてたし」

 残念そうに首を振っているダイチくんのとなりで、トワくんがうめく。

「なにそれヒドい!」

 この人たち、また私を使って賭けをしてたんだ。しかも、私が負けるほうに……。

「あーあ、アカツキのひとり勝ちかよ」

 トワくんのつぶやきに、ドキッと胸が鳴った。

「え……?」

「だって、知紗は俺の忠犬だし」

 王子は得意そうに笑っている。

 アカツキだけ、私に賭けてたのか……。

 整った顔を見ていたら、妙に落ち着かない気持ちになった。

 なんだろう。

 なんだか、むず痒い。

「あ、レミちゃん!」

 いきなり声を上げて、セイが私にしがみついているレミを凝視する。

 ひとしきり文句を言ったところで、ようやく周囲に目がいったらしい。

「近くで見てもやっぱり可愛いね。俺に会いに来てくれたの?」