キミが泣くまで、そばにいる



「ちーちゃん、すごい!!」

 横から飛びつかれて私は地面に倒れ込んだ。

「すごいすごい! 一気に抜いちゃったぁ!」

 周囲でクラスメイトたちがきゃーきゃー盛り上がっている。

「知紗」

 差し出された手を無意識に掴んで立ち上がると、

「さすがだね。ご主人さまの元に一目散って感じ?」

 アカツキが微笑み、頬が燃えた。

「ち、ちが」

「おい、ちィ!」

 思い切り背中を叩かれた。

 光を反射してきらきら光る金色の髪が目の中に弾ける。

「お前なんで1位なんだよふざけんな!」

「な、なんでって」

「ちィのせいで賭けに負けただろ!」

 理不尽な怒りを爆発させているセイの肩を、横から現れたダイチくんが掴んだ。

 にこっと笑ってフォローしてくれるのかと思いきや、

「実は俺も6組に賭けてたんだよなー。知紗ちゃんがそんなに足速いとはなぁ」