キミが泣くまで、そばにいる



『私、絶対頑張る! あきらめないで絶対合格するから――そしたら、先生、私と付き合ってくれる?』


 思い出すと、さすがに恥ずかしい。

 あのころの私は、なんて必死だったのだろう。

 バカ正直に突っ込んでいくばかりのパワープレイ。バスケの顧問からも、もっと頭を使えって怒られてたっけ。


 緩んだハチマキを結び直していたら、遠くでパアンとスターターピストルが弾けた。

 私はアンカーの位置につきながら、バトンを回してくれるクラスメイトの姿を追う。

 私たち3組のバトンは白。2組と6組が速い。あ、7組にも抜かれた。

 頑張れ! と心の中で叫びながら、足の裏からじりじりと熱がこみ上げるのを感じた。

 別のクラスの子たちが、目の前でバトンをつないでいく。

 間近に聞こえていた歓声が、遠のいていく。

 顔を苦しげに歪めたクラスメイトが、腕を伸ばす。

 バトンを受け取って、私は全力で地面を蹴った。

 風を切りながら、ああそっかと気づく。