キミが泣くまで、そばにいる



 私なんかを脅して従えなくても、アカツキのために動き回りたい女子なら、その辺に掃いて捨てるほどいそうなのに。

「そろそろ戻らないと。ちーちゃん、もうすぐ出番――」

「真辺さん」


 聞こえた声に、身体が反応する。

 振り返ると、メガネを掛けた先生が立っていた。いつもの白衣ではなく、ジャージ姿が新鮮だ。

「あー佐久田先生だ!」

 レミの声に、一時的に上昇していた感情が、すっと落ち着いていく。呼吸を整えて、私は浮つきかけた気持ちを引き締める。

「先生、今日は休みじゃないんですか?」

 非常勤講師はクラスを受け持っていないから、体育祭なんかの学校イベントには参加しないことが多いって言ってなかったっけ。

先生の言葉を思い出しながら、レミに不審がられない程度の距離感とそっけなさで訊くと、先生はふっと目を緩めた。