隣の部屋のナポレオンー学生・春verー














ーーーそれから1時館が経過して。



「いやー、今日は楽しかったなあ。
大声出してすっきりしたろう、緋奈子よ」


「……ああ……うん……そだね」


「どうした、やけに元気がないな」


「……そかな……?」


あたしは呆然としつつ答える。


カラオケの帰り道。


宵闇に染まりつつある空のしたで、あたしは間の抜けた顔で失笑した。










……知らなかった。




ナポレオン……音痴だったんだ。




一緒に歌ったから、違和感ハンパない。



あんなに音程ズレズレの人、初めて見たわ。



某人気アニメのガキ大将も顔負けだよ。



しかもあの様子だと、本人、自覚無い。



「ぷっちんでも買って帰ろうかなぁ」



クレープしか作れないのに、ナポレオンは野菜を買って帰る気はないらしい。


何とも平和な空気の中、あたしの頭の中では、間抜けたBGMが流れていた。