なにもかけてないけど、美味しいのかな……?
この前あげたミカンでも乗せて食べればいいのに。
「ナポレオンって、そんなにクレープ好きなの?」
「好きというか、生まれてこの方クレープしか作ったことがないのだ」
そっちか。
「あー、なにしろ我が輩は生きておる頃からクレープしか作らんかったからなぁ。
クレープ占いとかマイブームだったし」
「クレープ占い?なにそれ」
「簡単にいえば、コイントスしながらクレープトスするようなものだ」
「クレープトスって、無いと思うんですが」
「要は、コイントスしつつ、フライパンでクレープをひっくり返して吉凶を占うのさ」
……うーん……。
わからん。
籤とか亀の甲羅を焼くとか、そういうのならわかる気がするけど。
クレープで占いって……。
ああでも、それも異国文化なのかな。
「でも昼ご飯なんだし、それだけで足りんの?
おやつ代わりにミカン持って来ても良かったんじゃない?」
「我が輩は意外と少食なのだ。
軍人時代も、ちゃかちゃかと小忙しく飯を食べるなど、できなかったからな」
たしかに、なんか意外だな。
フランスの人って、小さい料理を時間かけて上品に食べてそうな印象あったんだけど。
そうでもないんだ。
「というか、お前こそいいのか?
昼飯は食べておくべきだぞ。
“腹が減っては戦はできぬ”とか、日本でもいうではないか」


