「夕陽は何やるんだっけ」
「衣装係…」
「へえ、衣装作れるの?」
「一応…裁縫とかは好きかな」
「うん、得意そう」
こんな会話も、苦しい。
何でだ、好きな人と一緒にいるのに。
「絢星くんは、王子様だね」
「王子なんて柄じゃないし…」
「そうかな、王子様の衣装とか似合うと思うよ」
前は沈黙ばかりだった。
でも今は自然に喋れるようになった。
でも、だけど。
前の方が、幸せだった。
何も知らない方が、楽しかった。
いつ、終わりを告げられてしまうんだろう。
その恐怖から逃げるみたいに当たり障りのない話題を選んで、昨日見た2人の会話も見なかったことにして。
冬花さんの気持ちも知らなかったことにして、絢星くんの本心も考えないふりして。
…そんなの本当に、付き合ってるって言えるんだろうか。



