好きだった…わけじゃ、ない。
今だって好きなのかって言われたら…。
「わかんない…」
「はぁ?」
怖かった、苦手だった。
今だって少し怖いし、少し苦手だ。
でも、でも、なんていうか。
「わかんない…
私、恋とか…したことないし…」
高校生にもなってこの恋愛経験のなさが恥ずかしくて、ボソボソと呟く。
そう、私は恋をしたことがない。
幼稚園の時に◯◯先生と結婚する、とか、◯◯くんが好き!とか、そんなこともたぶんなかった。
小学校にも中学校にも、それらしい記憶はない。
皆にはお子様だ、とか、天然記念物だ、とか笑われてきた。
そんなこと言ったって、恋って気持ちがわからないんだから仕方ないじゃないか。
「…じゃあ何で付き合ったの?」
「き、気付いたら、頷いてたっていうか…目が離せなかった、っていうか」
まあ簡単に身も蓋もない言い方をすればら流されたのかな。うん。



