「…絢星って、呼んでくれないの？」
「っ…」
絢星、って、呼ぶの？
私が？本人の前で？
だめだよ、そんなの、ドキドキして心臓止まっちゃう。
「俺は呼んだんだけどなぁ」
「うっ…」
なんだか、今日の南雲くんは意地悪だ。
「…先輩のことは名前で呼ぶのに？」
「な、南雲くんは…簡単に呼べないです…っ」
「なんで？」
「っ、ドキドキするから…」
消え入りそうな小さい声。
だけど南雲くんの耳にはちゃんと届いてしまったらしい。
「…そう。
じゃあ、仕方ないからゆっくりでいいよ」
「は、はい…」
なに、恥ずかしいこと言ってるんだろう、私。
でも南雲くんの耳も赤い気がする。
