定食を受け取り、
人がまばらになった食堂の長テーブルで、流星と並んで食べていた。
唐揚げ…
私の分まで1個サービスしてある…
昨日の歓迎会の時にも思ったけど、
寮のみんなは、流星を叱りながらも温かい目で見ている気がした。
叱るのも愛情と言う感じ。
慶子さんからもそんな感じを受けた。
チャラいけど、愛されキャラ。
女の子が寄ってくるのは、見た目の格好良さだけでなく、
人懐っこい彼の可愛さに惹かれるから、かも知れない。
半分くらい食べた時、流星がギクリとする質問をぶつけて来た。
「ゆかりちゃんさー
寮に入るってことは、東京の子じゃないよね?どこ出身?」
「えーと…北の方…」
「北って東北?」
「…… 北海道…」
戸惑いながら「北海道」と返答した。
フラノの地名は出したくない。
私の事を思い出すなら、自力で思い出せと言う気持ちだ。
別人の様になってしまった流星に、私からあの夏は喋らない。
言わないと決めたフラノの地名。
しかし、その名を流星から口にした。
「あのさ、フラノに行ったことある?知り合いとかいる?」
「…何で?」
心臓がドキンと跳ねた。
もしかして…と思った。
ラベンダー畑の少女の名前と顔は忘れたけれど、
一緒に過ごした思い出と約束は覚えているんじゃないかって…
そんな期待をしてしまった。
流星は食べかけの箸を置き、制服のポケットからパスケースを取り出した。
乗車カードの後ろから、大事そうに引っ張り出したカードを見せてくる。


