それを見て、笑いが込み上げてきた。
何だろう…してやったりと言うか、この爽快感。
気持ちがいい。
Sの目覚めだったらどうしようか。
まだ夜空に向け溜息を漏らしている彼に、笑いながら言った。
「流星、プロポーズの返事は?」
「……… 紫…もしかして怒ってる?
君を4年も放置した事、許せずにいる?」
「それはもういいよ。
流星も辛かったの分かってるから。
でもね…『もう少しだけ待っていて』とメールをくれてから半年、何の連絡も無いのは酷いよね。
我妻さんが定期的に状況報告メールをくれなかったら、大樹の次は私がロシアに乗り込んで行く所だったよ!
待っている私の身にもなって欲しい!」
「ごめん……そんな気持ちにさせてるとは分かっていたけど、
数年振りなのに、メールや電話じゃ味気無いからさ。
けど…ごめん…許して…」
「もう…… でもそれもどうでもいいや。
文句言ったらスッキリしちゃったし。
で?プロポーズの返事は?」
自分が返事をする側になってしまった事に、まだ不満そうな顔を見せる流星。
「こんなストーリーは想像していなかったのにな…」
ボソリ呟いている。
それも溜息一つで諦めたみたいで、すぐに微笑みを浮かべ、真っすぐな視線を私に向けた。
「君のプロポーズを受けるよ。
紫の傍で生きて行きたい…俺を君の婿にして下さい」
「ふふっ よろしい!」
サワサワ…ザワザワ…と花穂を揺らし、青く光るラベンダーの海も、さざめく満天の星達も、私達を祝福してくれている。
「君に渡したい物がある」
上機嫌な私に流星はそう言うと、ズボンの後ろポケットから小さな箱を取り出した。
差し出すそれは、どう見ても指輪ケース。
私の目の前で流星の手によって開けられたその中には、白く艶々と光沢のある生地の中央に、あの指輪が収められていた。
「紫水晶の指輪…」


