彼の頬から唇を離し、微笑みながら言葉を続けた。
「極寒の大地で雪に覆われても、枯れることなく次の夏には花を咲かせる」
「それ…」
「うん、流星の言葉だよ。
私は富良野に咲くラベンダーみたいだって、ラベンダーみたいに強いって、流星が言ってくれたんだよ」
「…随分前の俺の言葉を…覚えていたのか…」
「もちろん。嬉しかったから…ラベンダーみたいだって言われて、嬉しかったよ私。
だから…この大地に咲くラベンダーに誓って約束する。
私は傷付いても枯れたりしない。
涙を流しても、その後にはちゃんと笑って、花を咲かせるから。
だから流星は安心して、私の傍に居ればいいんだよ。
私の隣で幸せになればいい」
流星の瞳から、次々と新しい雫が落ちて来る。
それを納めようと右手で目元を覆う彼。
泣いてもいいのに…
むしろその涙は嬉しいのに……
そう思いながら、伝えたかった最後の言葉を口にする。
「流星、私と結婚…」
そこまでいい掛けた時、目元を押さえていた流星の手が、素早く私の口に移動した。
納めようとしても止まらなかった彼の涙が、ピタリと止まっていた。
驚き焦っている顔に、口を塞がれたまま首を傾げる。
「それ、俺に言わせてよ。
一生に一度の大切な台詞」
そう言われて、感動の涙が止まる程、焦った理由が分かった。
でもね、後尾まで言えなかったけど「結婚」の二文字はもう言っちゃったよ。
それに……
まだ私の口を塞いでいる流星の右手を外し、ニッコリ笑って早口に言った。
「こういうのは早い者勝ちだよ?
流星、私と結婚して」
「あーっ!!…言いたかったのに……」
天を仰ぎながら溜息をつき、流星は明白(アカラサマ)にがっかりしている。


