ラベンダーと星空の約束

 


「君は強いな…呆れる程強い…」



流星はそう言うと、私をそっと引き寄せ、抱きしめた。


彼の肩に頬を当てると、温かい体温が伝わり、

首筋に耳を寄せると、頸動脈からドクドクと力強い拍動を聞き取る事が出来た。




こうして抱き合える日を待ち望んでいた。

流星の温もりと生を全身に感じ…今、震える程に嬉しかった。



でも喜びにどっぷり浸るのは、もう少し後にしなければ。

まだ伝えたい大切な言葉を残しているから…




彼の腕の中から顔を上げ、至近距離で見上げた。




「流星、聞いて」




「ん?」




「私ね…流星の命の期限を大樹から教えて貰った時…怖かった。

今でも怖い。

流星が死んだら…泣くと思う」





私の背中に回され、ゆっくりと撫で下ろしていた彼の手が、腰まで移動してピタリと動きを止めた。



見上げるその顔から、笑みが消えて行くのが分かった。



流星が一番怖れている言葉を、あえて今、口にしている。



これは言っておかなければならない事。

これから流星が安心して私の隣に居る為に…



強張る茶色の瞳から目を逸らさず、真剣に言葉を繋げた。




「流星、ちゃんと最後まで聞いてね。

流星が死んでしまったら、私は泣くよ。

大泣きして、おかしくなる位に悲しむよ。

いつか来てしまうその時の事を、今こうして口に出すだけで、怖くて悲しい…


でもね、泣いた後には必ず笑うから。

無理矢理でも何でも笑う。

泣くのは一週間で終わりにする。


約束する。

あなたが死んで一週間後には私は笑う。

みんなで流星との想い出を話しながら、笑っているから。


だから…怖がらないで。

私を傷付ける事を怖がらないで…私の涙を怖れないで…」





流星は驚きの表情を浮かべ、話しを聞いていた。



驚いて…それから、綺麗な茶色の瞳が揺らめき、

溢れ出した雫は、綺麗な頬を濡らして行った。



それを見て嬉しく思う。

その涙は、彼の心に私の言葉が届いた証拠。



少し背伸びして、涙の流れた頬に唇を当てた。



温かい涙…流星の心の温度と同じ……