そう言われ空を見上げるけど、まだ夜空に物語を描く事の出来ない、星座初心者の私には検討もつかなかった。
適当に、昨夜彼から聞いたばかりの星座を口にする。
「射手座…?」
「正解!すごいね紫!
一回で当てられるとは思わなかったよ。
君の理解は想像以上だ。
素晴らしいよ!」
当てずっぽうで言っただけなのに、手放しで褒められ、恥ずかしいけど単純に嬉しくも思った。
満面の笑みを向けると、流星の色白の頬が赤くなった。
急に赤面した理由を、あの時の幼い私は分からなかった。
首を傾げて流星を見ていると、
彼は恥ずかしさをごまかす様に、天を見ながら話しの続きを始めた。
「君の言う通り、蠍座の天敵は射手座なんだ。
空を見て、弓矢が蠍に向いてるだろ?
蠍座が暴れだした時の為に、射手座が側で見張ってるんだ」
「ふーん、オリオンを倒したって褒められたのに、弓矢で狙われるんだ…星座の世界って怖いね」
「そうだね。美しさだけじゃなく怖い面もある。
神話の世界に、死は付き物なんだ。
それって、昔の人達が今よりずっと、死を身近に感じていたからじゃないかな。
でも僕は…昔の人と同じ様に、死についてよく考えるよ」
「…流星……」
「あっゴメン、こんな話し…
紫、そんな顔しないで。
大丈夫、僕の病気は手術すれば良くなるから。
秋に手術して…きっと走れる体になると信じている。
僕は大丈夫だよ。
紫、笑って?君の笑顔が好きなんだ」
「笑って」と言われ、幼い私は素直に笑った。
「僕は大丈夫だ」と言われたら、
「そうなんだ」と納得する。
安心して「手術頑張ってね」と、子供らしい言葉で彼を励まそうとする。
屈託ない笑顔を向けていた幼い日の私。
流星はその笑顔が好きだと言ってくれた。
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流星……
カメラのファインダー越しに見えた、幼い日の私達の姿。
懐かしく、温かい想い出に浸っていた。


