ラベンダーと星空の約束

 


精緻な硝子細工の様に、綺麗な少年。



見た目の美しさに呼応するかの様に、彼の口から紡がれる言葉も美しかった。



流星が話す星座の物語は、満天の星空と同じ様にキラキラ輝いて、

容姿に惹かれるだけでなく、言葉の美しさにも魅了された。



星空の下で、彼の言葉をいつまでも聴いていたかった。



全ての夏の星座を聞き終えても、繰り返し同じ話しをせがんだ。



白鳥座、琴座、ヘルクレス座… 冠、鷲、蛇使い、射手、蠍…

南の空に浮かぶ星座達。



どの星座の話しも魅力的だが、一番心に焼き付いているのは、彼の星座…蠍座の話し。



初めて蠍座の話しを聞いた時の事を、思い出していた。




「あの一際明るく輝いている赤い星が“蠍の心臓アンタレス”だよ。

心臓と呼ぶに相応しい赤色超巨星、ルビーみたいに綺麗な星だよね。


僕は蠍座なんだ。そう、11月生まれだよ。

今日は僕の星座の話しをするよ。


―――――――――――――――……それで勇者オリオンは自分の力に陶酔して傲慢になっていくんだ。

それに怒りを覚えた大地母神ガイアは、一匹の蠍を地上に遣わせる。

オリオンは蠍を見て小さな奴だと馬鹿にした。

踏み潰そうとして、蠍の毒針に倒れてしまうんだ。

オリオンを倒した功で蠍は星座として天に迎えられた。

オリオンも、彼を哀れに思う別の神によって星座になった。


でもオリオンは天空で安穏と暮らしてはいられない。

また蠍に刺されるんじゃないかと、ビクビクしてるんだ。

だから東の空から蠍座が現れると、オリオン座は西の地平線に逃げて行く。


これが蠍座のお話だよ。どう?面白かった?」




「うん、面白い!

ねぇ流星、力自慢のオリオンを倒しちゃったって事は、蠍は星座の中で一番強いの?

流星の星座は最強?」




「ハハッ残念ながら違うんだ。

蠍にも天敵はいる。何座だと思う?」




「えっ突然クイズ?

えーとね…えーと………分かんない。ヒントは?」




「ヒントは…今上空に見えている星座だよ。
ほら、蠍座を狙ってる」