ラベンダーと星空の約束

 


「大樹、何かあったの…?
明らかに変だよ。熱でもあるの?」




「無ぇよ。お前さ…今夜も星見に外出んだろ?」




「うーん、どうしようかな…分かんない。

星が綺麗に見えそうな天気だけど、今日は疲れたよ。

青空は居ないし、三浦君は腑抜けてるし…

私、今日何人分働いただろう?

疲れて、お風呂入ったらすぐ寝ちゃいそう」




「それはダメだ!」





何故かダメ出しされ、キャラメルの箱で額を小突かれる。





「ダメって何で?」




「…今夜は…何とか流星群が見える…らしい」




「流星群?ああ、ペルセウス流星群の事?
それとも双子座流星群?」




「名前は知らねぇ」






大樹から星の話しが出るなんて意外だ。



夏に見えるのは、多分ペルセウス流星群か双子座流星群。



そのどちらも、今年は肉眼だと余り見えないと聞いた気がする。



長時間夜空を見上げていれば、一つか二つは流れるかも知れないけど、

流星群と呼ぶ程見えると思えない。



それを大樹に言うと、理不尽に怒られた。




「つべこべ言わねぇで、見ろっつったら見ろ!

何で俺がこんな…あ゙〜面倒臭ぇ!

とにかく絶対に見ろ!

寝てる場合じゃねぇ、分かったな!」




「う…うん…」





何故か私に星を見せたい大樹は、

「絶対だぞ。忘れて寝やがったらシバくからな」と念を押し、

ジンギスカン味のキャラメルを本当に自腹で買い、出て行った。




作業着姿の大きな背中が遠ざかるのを、自動ドアのガラス越しに見ていた。



変な大樹……



でも、星を見に外に出ようと言う気にはなった。



流星群が見れると思わないけど、ラベンダーの季節に間に合わなかった流星の為に、写真を撮りたいと考えていた。



ラベンダーと星空の写真を、帰って来る流星に見せてあげようかな……