ラベンダーと星空の約束

 


『スパイシーチキンサンド×1、オムカレー×2』のA卓のお客さん、

多分3人連れだと思うけど、

それで『じゃがバター×7』も注文するのは変だ。



手早く仕上げたオムライスにカレーをかけながら、食器を片付けている三浦君を呼び寄せた。





「はい、紫さん」




「A卓の“じゃがバター×7”って本当に合ってる?」




「えっ…あ…それ7じゃなく1です」




「なるほど…今度は読める様に書いて」




「すいません…」






注意された三浦君は、しゅんと肩を落としてしまう。

それを見て慌てた。




「怒ってる訳じゃないよ!
気をつけてくれればいいから!

あっえーと…私、言葉がキツイって良く言われるんだ。

ゴメンね怖かった?

お願いだから、落ち込まないで〜」




「はい…すいません…はぁ……」




「落ち込むな!」





ここ数日の三浦君は、どこかぼんやりして気が抜けていると言うか、

いつもの元気さがなく、集中力も欠ける。



彼が腑(フ)抜けてしまった原因は、私にあり……



だから怒る訳にいかないけど、青空はまだ札幌から戻って来ないし、今日も激混みだし、

三浦君にシャキッとしてもらわないと、困るんだよね…ふぅ……





「紫、あのよ…」



「あっごめん、大樹の事忘れてた。
何の用事だっけ?」





三浦君にA卓のオムカレーを渡して、大樹との会話を再開したが、それもまたすぐ中断となる。



調理場に焦った顔して駆け込んできたのは、土産物コーナーでレジを担当しているアルバイトの女の子。




「すいません!レジが動かなくなりました!

エラーって出てるんですけど分からなくて、見て下さい!」




「え…どうしよう…」





やりかけのA卓のオーダーと、新たにC卓E卓のオーダーを抱えている私が戸惑っていると、

一緒に調理場で汗を流す母が言う。




「紫、レジ見てきなさい。
後はCとEだけ?」




「A卓のじゃがバターもまだ出してない。

大丈夫?お母さんも目一杯なのに…」




「この位なら大丈夫。
ほら、レジにダッシュ!」




「お母さん、私走れないから…」