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ラベンダーの花穂を刈り取る前日のこと。
毎年この時は訪れるけど、紫色に香る大地との別れを、今年は取り分け淋しく感じる。
それは、流星の帰りがこの季節に間に合わなかったと、残念に思うからだろう。
この地で生まれ育った私にとって、ラベンダーが広がるこの光景は当たり前。
そんな私であっても、流星と見るラベンダーは特別に感じる。
二人で見るこの景色は、幼い頃の淡い初恋と重なり、胸が温かく…少しだけ切なく震える。
『待ってるね』とメッセージカードに書いた幼い日の私。
戻って来ると信じ、ひたすら5年も待ち続けていた。
そして…成長して大人になった今も、こうして流星を待ち続けている。
かつて流星は、私をラベンダーの様だと言った。
ラベンダーの花言葉は、
『あなたをずっと待っています』
まさに私の存在を表す花言葉…
今年は間に合わなかったけど、来年は一緒に見れるかな……
流星…いつ逢えるの…?
これから開店準備を始め様とする朝、自宅から店舗までの30メートルの距離を母と歩きながら、
明日で見納めになるラベンダー畑を見て、小さく溜息をついた。
けれど、感傷的な気持ちで、しんみりしてはいられない。
ラベンダー最終日の今日は、きっと忙しい。
肩の力を抜くのは、明日からにしないと。
今年は商売繁盛で、アルバイトの人達も良く働いてくれた。
明日からは、彼らに十分な休憩時間をあげられるし、私も少しはゆっくり出来るかな…


