「流星はダサくも女々しくもないよ!」
「どーだか。
あいつはガキの頃から、男らしさが足りねーんだよ。
顔つきも体型もそーだし、星見たり本読んでばっかでよ、十分女々しいだろーが」
言いたい放題言ってくれて…
私の事をバカにしようがブス呼ばわりしようが何とも思わないけど、
流星の事を悪く言われたら腹が立つ。
大樹の脛(スネ)を蹴り上げ、もちろん反論する。
「あんたね、この辺の農家のガタイのいい男と、流星を比較する自体が間違いなんだよ。
言っとくけど、流星は必要な筋肉はちゃんと付いてるし、結構力があるからね?
全然女っぽくないよ、瑞希君じゃあるまいし。
星空観察や読書の趣味だって素敵じゃない。
あんたも少しは流星を見習って、いい趣味持ちなよ」
麻痺を僅かに残す右足で大樹の固い脛をげしげし蹴り続けていると、その足を雪の上に踏み付けられた。
体重を乗せられて、もう右足の自由はきかない…
更には偉そうに腕組みしながら
「俺様に勝とうなんざ100年早ぇ」
とアホなガキ大将みたいな台詞を吐く。
私にそんな仕打ちをしてくるのは大樹位の物だ。
かなり回復したと言え、まだ歩行のぎこちなさを残す私を、家族でさえ気を使い、労ってくれるのにこいつは…
「大体、紅茶にジャムに…何たっけ、ストーン?格好つけてんじゃねーよ。
日本男子なら大福に緑茶だろーが」
「ストーンって…石は食べられないから。スコーンだよ、バカだね。
日本男子なら大福に緑茶?
あんたどっちかと言うと、和菓子より洋菓子が好きじゃない。
お茶より珈琲がぶ飲みしてるくせに、何言ってるのよ」
「るせーな、俺は男気溢れてるから、ケーキ食おうが珈琲飲もうが、大丈夫なんだよ」
矛盾する物言いに呆れる。
「何が大丈夫なのよ、バカじゃないの?」
と反論するけど、更にムカつく言葉を返される。
徐々に吹雪の様相を呈して来た屋外で、私達のバカな言い合いは続き…
流星の話しからどんどんズレてしまう。
一時間経っても戻って来ない娘を心配し、途中で父が様子を見に来たけど、
「何だ、大樹も一緒か。なら大丈夫だな」と、
こっちにも
「何が大丈夫なのよ」
と言いたくなる台詞を残し、再び家に入ってしまった。


