ラベンダーと星空の約束

 


ふーん…

風景じゃなく、静物画の様な写真なんだ……



それを少し意外に思いながら、写真を眺めていた。



食卓テーブルには、少し日焼けして黄味がかった、白い木綿のテーブルクロスが掛けられていた。



日焼けしていても使い込まれていても、洗濯し立ての様に清潔感が感じられる。



その上に乗せられた小物達と言うのは…



まず画面右奥にチューリップ型のティーカップ。

取っ手と飲み口に金の配色を施し、側面には赤い大きな花模様が描かれている。



何と無く異国の雰囲気を感じさせるそのカップは、お揃いのソーサーの上にすました顔で乗っていた。



その隣には平皿に盛られた、手作りの美味しそうなスコーンが二つ。



更にその隣には素朴なビンに入れられたラズベリー色のジャムが、木綿のテーブルクロスに赤色の影を落としている。



画面の手前左側には積み上げられた分厚い本が三冊と、その上に畳まれた新聞紙。



本の背表紙はロシア語の読めないタイトルが書かれ、新聞も同じくキリル文字が連なる。



テーブル上の物はそれ程多くないのに、光と影に彩られて賑やかに見えた。



窓にはめ込まれたT字の格子も、テーブルクロスの上に斜めにその形を浮かび上がらせている。



積み上げた本の濃い影に、スコーンの丸みを帯びた影。



ラズベリー色のジャムの影と、チューリップ型のカップの影。



カップから立ち上る湯気も良く見ると、薄く淡い影をテーブル上に投げ掛けている。



湯気にも影が出来るのか……



一言で影と言っても、濃かったり薄かったり、

物体の輪郭をハッキリと浮かび上がらせていたり、ぼやけていたり…

影にも様々な種類があるのだと気づかされた。



我妻さんの写真って、やっぱり凄い……



パソコンの画面6分の1の大きさで表示していたその写真。



全体を捉えて鑑賞するには、あまり大きく拡大しない方が見やすい。



少し小さいと思う程度の大きさで、暫く光と影の、美しくも温かく面白い写真を堪能していた。



異国の風情を感じさせる物達も、目に新しくて興味をそそる。



キリル文字の本や新聞、それから少しだけ写り込んでいる壁紙。

えんじ色の地に独特の細かい模様の壁紙は、何と無くロシアらしい。