『君の質問は“陰影の効果的な付け方”だったよね。
おじさん文章で答えるのは苦手だからさ、代わりに昨日写した“光と影”の写真を送るよ。
君ならそこから何かを掴めるんじゃないかな。
この写真はきっと君の為になる。
お節介なおじさんサンタクロースからのプレゼントさ。ワハハハッ!
それからイルミネーションの写真はオマケね。
Myスウィートハニーのアーニャが、クリスマスらしい画像も贈った方がいいって言うからさ〜。
これ朝8時に写したんだよ。
朝のイルミネーションって不思議だろ?』
その文面を読んでから、添付してくれた二枚の画像を見た。
一枚は奥さんのアーニャさんに言われ送ってくれた、モスクワ市街のイルミネーションの写真。
夜みたいに真っ暗な市街地に、粉雪がチラチラと降っていた。
赤、白、青、オレンジ…
色取りどりの電飾が木々や建物を飾って美しい。
完全な夜の風景なのに、これが朝の8時なんて確かに不思議だ。
冬のモスクワは日の出の時間が昼頃だと聞いた事がある。
リビングの壁時計に目を遣った。
今は午後3時。
モスクワとの時差は6時間だから、我妻さんのいる場所は朝の9時と言うことになる。
きっとこの写真と同じ様に、まだ日の出の気配すらない真っ暗な朝なのだろう。
日本より緯度が高いから当たり前なんだけど、真っ暗な朝と言う物を味わった事がないから、感覚的に不思議だよね……
次に私の質問の答えとして添付してくれた『光と影の写真』を見た。
こっちは我妻さんの自宅で写した写真みたい。
写っているのは、食卓テーブルの上に乗せられた小物達。
食卓テーブルは画面右奥の壁にぴたりと付けられ、テーブルの高さより少し上に窓がある。
窓の外を見ながら食事が取れる、そんな感じの配置。
写真では窓は見切れていて、下の方しか写っていない。
クリーム色の窓枠と窓硝子の下の方だけが見える。
外の景色は分からないけど明るさは感じられる。
写したのは多分、日の出の昼頃じゃないかな。
顔を覗かせたばかりのモスクワの冬の淡い陽光。
それが東側のその窓から入り込み、テーブルの上にある小物達に光を与え、細長い影を生み出している。


