ラベンダーと星空の約束

 


そんな事言ってた大樹だけど、私の隣で同じ様に寝そべり、空を見上げてくれる。



2人の呼吸音が風の中に溶けて行く。

それ以外の音は聴こえない。

冬って静かだよね……




極寒の大地…

静寂の中に降る粉雪…

流星も今頃きっと……





「紫…?何かあったのか?
変だぞお前…」



「………」




取り乱してもいないし、表面上は普段と変わらないと思うけど…

少しの変化も、大樹には見破られてしまう。



大樹のくせに…
いや大樹だから分かってしまうのか。

一緒に育ってきた大樹だから……



怪しむ視線を右頬に感じるけれど、私は空を見上げたまま。



次第に量が増え、大気を白く埋めて行く粉雪を見ながら、

口元から白い湯気と共に、切望していた筈の言葉を吐き出した。




「流星を見つけたの」




その瞬間、大樹が雪の上にガバッと起き上がり、驚きの表情で私を見下ろす。




「マジで…?」



「うん」



「どこだ!あいつどこに居やがる!」



「モスクワ」



「モスクワ…カニ…か?」



「カニじゃなくて、ロシアだよ」




『ロシアと言えばカニ』
と言う発想。

その思考が、在りし日の私と被っていて苦笑いしてしまう。



私を鋭い瞳で見下ろす大樹に視線を合わせ、静かな声で語る。



つい数時間前の、流星を見つけた驚きを……




――――――…


家族揃って昼食をとり、その食器を洗い終えた私は、午後の時間をファーム月岡のホームページの更新に費やそうとしていた。



母は

「稲田さんの家にお茶飲みに言って来るから」

と出掛けて行き、


父は防寒着を身に付け玄関に向かったから、これから除雪を始めるのだろう。



青空は

「姉ちゃん英語教えて?
ああ、後でいいよ。
分かんない所溜めてから聞きに来るから」

そう言って欠伸(アクビ)を一つ、受験勉強しに自室へ戻って行った。