久しぶりの子供の感触を味わいながら、起き上がらず、そのまま天を仰ぎ見て考え込んでいた。
流星の事を……
マイナス15度の冷気と背中からの雪の冷たさが、熱くなり過ぎた頭を冷やし、静かな思考の時間を与えてくれる。
夕陽のオレンジ色と夜の紫色の二色が拮抗する雪雲から、チラチラと粉雪が降ってくる。
極寒の大地に降る雪は、東京の水分量の多い大きな雪の粒とは違い、細かくてサラサラしている。
風に流され斜めに飛んで行く粉雪を見ながら思う…
流星も今頃、こんな粉雪を眺めているのかも知れないと……
粉雪を見ながら想うのは…二人で過ごした懐かしい日々のこと…?
それとも今の私の想像図…?
顔の上にチラチラ降り注いでいた粉雪が遮られ、黒い人影に見下ろされた。
「おい、自分ん家の庭でなに遭難してんだよ。
アホかてめぇは」
やって来たのは4日振りの大樹。
連日スキー場でアルバイトしている彼の顔は、
スキー用サングラスを掛けていた場所以外が雪焼けして赤黒くなっていた。
白黒反転した逆パンダみたい…変な顔……
「スキー教室は?クビになったの?」
「なんねーよ。今晩は吹雪くらしいから、夜間の部は中止だ」
「ふーん、それで早く帰って来たんだ」
スキー場から車で戻ったばかりの大樹は、スキー場の名前の入ったスキーウェアを着て、厚手の手袋をはめていた。
差し出されたその手に掴まり起き上がろうと…せずに、
思いっ切り腕を引っ張り、大樹の膝裏に足を掛け、雪の上に転ばせる。
私の真上に倒れそうだった大樹は、片手を雪に突き立て体を捻り、上手に衝突を避けてくれる。
「危ねっ!
てめぇ何しやがる!」
「アハハッ!
ほら、大樹もこうやって大の字に寝てご覧よ。
子供の頃みたいで楽しいよ!」
「今そんなんやっても寒いだけで楽しい訳ねーだろ、バカ」


