本気で私のベットで寝ようとしている大樹の隣で、

「まぁ、いいや」と諦め、リモコンで室内灯を消し眠りにつこうとした。



暗くなった部屋の中、私に背を向け寝そべる大樹が口を開く。




「流星の命の期限…
それを話したのは、お前を泣かせて正気に戻す為だけじゃねーよ。

お前が何も知らねーままだと、流星を見つけ出してもまた逃げられるだろ。

けどもう逃げらんねー。

お前が全てを知ってると分かったら、あいつは帰ってくる。

逃げる意味がねーからな」




「大樹…流星が私の下に戻れる様に、そう願って話してくれたの?」




「あいつの為じゃねぇ、お前の為にだ」





バカな大樹が、そんな事考え、真実を教えてくれたと思っていなかった。



瑞希君に「泣かせて」と頼まれただけだと思っていたから、少し驚いた。




「大樹の言う通り、私が全てを知った上で一緒に居たいと言えば、流星は戻るかも知れないよね。

でもね、それをどうやって伝えるのよ。

連絡つかない事が一番の問題なのに」




「明日考える。
今日はもう眠……ぐー………」





あっ大樹の奴、話しの途中で寝ちゃった。



大樹にはどこでもすぐに眠れる才能がある。

あまり誇れる才能ではないけどね。



時刻は丑(ウシ)三つ時。
濃い夜闇の中、幅の広い肩が規則正しく上下していた。



それを見ていると、私にも眠気は訪れる。



私の掛け布団の半分を、大樹の体の上にずらし掛け、広い背中に額を当てた。



昨夜は一睡も出来ずにいた私。



二日ぶりの眠りは夢も与えず、すぐに意識を一番深みへと引きずり込んだ。







――――――――――――――――――――――――― 

根拠は無くても大樹が言うなら、流星が帰ってくると信じられる気がする。



それは何日後の事なのか、何年後の事なのか分からない。



それでも私は待っている。



ラベンダーと星空の…あの幻想的な景色の中で…

再びあなたに逢えると信じて……―――――――――――――――――――――