流星と弓道勝負なんてやる意味が分かんねーし、それに、俺は二度と弓を引かないと決めてんだ。
俺は紫を傷付けた…
弓は引かねぇ…二度と引かねぇ。
断ってもしつこく勝負に誘う流星に「やらねー」と言い続けていたら、
一拍置いて、こいつは信じられねー言葉を口にした。
「紫を賭けての勝負…と言ったら受けるか?」
紫を…賭けるだと…?
カッとなって、流星の胸倉を掴み、倉庫の外壁に力任せに押し付けた。
笑えねぇ冗談吐かしやがって…
本気で言ったんじゃなくても許さねーぞ…
胸倉を締め上げながら睨みをきかせるが、
流星は少し苦しそうな面しただけで、落ち着き払った涼しい目をしやがる。
「てめぇ…ふざけた事吐かしてると、ぶっ飛ばすぞ……」
「ふざけてない。
本気で紫を賭けて、弓道勝負しようと言ってるんだ」
本気と聞いて、腕に更に力を込め、体が浮き上がるくらいに持ち上げてやった。
紫はマジで惚れてるってーのに、こいつは……
ギリギリと締め上げる俺の手元で、流星の服のボタンが一つ弾け飛んだ。
さすがにそれには俺の手を叩いてギブアップのサインをしてきた流星。
手は放してやったが、睨みつける視線は外さない。
怒りの鎮まらない俺を見て、流星はうっすらと口元に笑みを作る。
何笑ってやがる…
何もかも俺の怒りさえも上から目線で見下しやがって…
ぶん殴りてー程ムカつく野郎だ。
「……… 俺に勝てる訳ねーって、分かって言ってんだろ?
お前の紫に対する気持ちは、そんないい加減なもんなのか?
それともアレか?
あいつが障害を負ったからって、見捨てんのか?」
「違うよ。
俺の想いは、その二つのどちらでもない。
紫を愛してる。
彼女を愛する気持ちは誰にも負けない…大樹にも負けないと思ってるよ。
何よりも愛しい存在…誰にも渡したくない……」
「紫を愛してる、誰にも渡したくない」と言いながら、
勝てねぇ弓道勝負に紫を賭けると吐かす。
こいつの頭ん中がまるで分からなかった。
解けねぇテスト問題を出されたみたいでイライラする。
怒りプラス、テスト中みたいな嫌な気分で、流星に話しの続きを促した。


