流星から大樹にメールがあったと聞き、物凄く驚いていた。
「あんた、流星とメールし合う仲だったの!?
全然知らなかった!いつからメル友?」
「メル友な訳ねーだろ。
俺はアドレス教えてねぇ。
オカマかお前が教えたんじゃねーのかよ。
つーか、そんなことはどうでもいい。
あいつは俺に一方的にメールを送り付け、すぐアドレス変えやがった。
変な勘違いすんなよ、俺も流星とは連絡取れねーぞ。
とにかくこれを読め」
大樹は私の左手にスマホを押し込むと、私に回していた腕を解き、体を離した。
ベットの縁に腰掛け、手の中の文面を目にする。
流星の書いた文章…
そう思い、明るい気持ちで読み進めたのに、
その内容は、もうすぐ流星が帰ってくると信じる私にとって、予想外で受け入れ難い物だった。
『去年の夏休み、弓道対決したのを覚えてる?
あの時何を賭けたのかも忘れてないよな?
君が勝ち取った戦利品の受け渡し期日を早めたい。
来年の3月。
紫の卒業式の後、彼女を迎えに東京に来て。
流星 』
何…このメール……
紫水晶の指輪の下がっていない服の胸元を、強く握りしめた。
心の弱い部分をすっぽり覆い隠していた、幻的願望を孕(ハラ)んだ紫色の薄いベール。
それが心の中で風に煽られ、今にも飛んで行きそうにパタパタはためいていた。
「去年の夏休みの…弓道対決……」
半年も経っていないあの日の出来事は、まだ記憶に新しい。
図らずも私に弓を向けたという大樹の心の傷…
そのせいで弓道を辞めたと、あの夏休みに知った。
ショックだった。
的前に立つ大樹はいつも輝いていたのに…
私がそれを奪ってしまったんじゃないかって…心が苦しくなった。
流星と私は、大樹に再び弓を引かせる為の策を練った。
流星はそれから一週間、お店の仕事が終わった後に一人で大樹の元に通い、弓を習った。
そして、富良野を発つ前日に2人は弓道勝負をして…
大樹の弓道姿をもう一度見る事が出来たんだ……


