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今から思えば、この時の私はおかしくなっていたと思う。
流星があの物語の結末と同じ道を選んだのは、私が「怖い」と泣いたからだと…
全ての理由は私の弱さ…
ただそれだけなんだと思っていた。
二人の未来は私が壊したんだ……
流星が居なくなった理由を自分の中に作り上げ、
そうやって私は一晩かけて自分を追い込んでいった。
後悔しても遅過ぎて…
もう弱音を吐かないと誓っても…
二度と泣かないと約束しても…
誓いも約束も…どこにいるのか分からないあなたには届かない。
この日の朝、途方に暮れながらベランダで雪を眺めていた。
東京に降り積もる真っ白な冷たい雪。
ゆらゆらと振り子の様に揺れながら…
幾千幾万の雪の粒が、目の前を通り過ぎて行った。
白雪の舞に目を奪われていても、想いは切れ間無く心の中に降り続ける。
もう弱さを見せないから…お願い帰って来て……
流星………
短く切実なその願いは、この切れ間のない雪の様に、
ハラハラ…ハラハラと…心の中に降り積もる。
そうしている内に、自己催眠にでも掛かってしまったのか…
正常に機能しなくなった心に、もう悲しみは存在しなかった。
笑っていれば流星が帰って来る…
そんなありもしない幻の願望に支配され、
悲しむどころか、もうすぐ…後少しで流星に会えるんだと…そんな気がして心が弾んでいた。
大樹の言う様に、こんな状況でヘラヘラと笑い続ける私は、さぞかし不気味に見えたことだろう。
大樹が来てくれて良かった……
全てを教えてくれて良かった……
全てを教えて貰えたから私は今こうして………
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私の部屋の薄紫色のカーテンが、エアコンの温風に揺れる様を見ていた。
カーテンと同色のカバーが掛けられたベットの上には、
壁に背をもたれ膝を抱えて座る私と、あぐらをかく大樹がいる。


