「…泣かせに来たんだ…」
「は?」
「俺はお前を泣かせに来たんだ!
紫来い、お前の部屋に行くぞ。
おいオカマ、今からこいつをわんわん泣かすから、隣に苦情言われたら、てめぇで対処しろよ」
「大丈夫、ここは柏寮みたいに音が筒抜けにはならないよ。
泣き声なんて響かないから思いっ切りお願い。
頼むから、早く紫ちゃんを正気に戻して…」
「おう、任せろ」
紫の手を引きリビングを出た。
「意味分かんない。
私を泣かすって何?泣くわけないじゃない…」
紫はブツブツ文句を言いながらも、やっぱりキモイ顔でヘラヘラ笑い続けてやがる。
泣かせてやるよ……
泣かせてやるから、頼むから正気に戻ってくれ。
流星の命の期限を知り、泣いて泣いて、バカみてーに泣きじゃくって…
そんで嘘くせー笑顔なんかじゃなく、本来のお前らしい面して前を向けよ。
お前なら大丈夫だ。
お前の強さを信じ切れなかったあいつと違い、俺はお前の強さを信じてる。
こいつを信じる事に理由なんか無ぇ。
17年間紫の隣に居続けて来たんだ。
理屈なんかじゃなく、体に染み付いたもんで分かるんだよ。
流星の命の期限を知った後、怖くて辛くて悲しくて泣いたって、お前ならあいつの側に居たいって思うだろ?
辛い宣告を受け止めて、あいつの心臓が止まるまで一緒に生きたいって…
紫ならそう言うだろ?
それがこいつの強さだよ。
怖がらず泣かない事が強さじゃねーよ…
怖がって泣いても、あいつの側に居たいって思うのが、こいつの強さだろーが。
流星のバカ野郎が…
紫の強さを、履き違えてんじゃねーよ。
どこに居んのか知らねーけど、絶対見つけ出して3発くらいぶん殴って、
頭ん中の間違った考えを粉々に砕いてやる。
覚悟しとけよ、このあほんだらが!


