ラベンダーと星空の約束

 


今朝、私が送ったメールは、ちゃんと流星に届いていた。



富良野を発つ前に
『これから東京に戻る』と送信したら、

『気をつけてね』と返信があったもの。




繋がらないと分かっていた。

瑞希君もそう教えてくれた。



それでも流星に電話を掛けてしまい、

耳に入ってくる音声が愛しい声ではなく…

『…現在使われておりません…』と流れる機械音声である事に、

愚かな私は打ちのめされる。




「紫ちゃん…
もう大ちゃんは…」




「瑞希君! 手紙に『東京を離れる』って書いてあったけど、まだ実家に居るとは考えられないかな?」




「居なかったよ」




「行ってみたの?」




「うん…君を空港まで迎えに行く前に、大ちゃんの実家に寄ってみたんだ。

僕だってこんな手紙信じたくなかったし、大ちゃんが実家以外に行きそうな場所なんて知らないし」




「それで?家族に会ったの?」




「母親って言う30代くらいの女の人が出て来て…家には居ないって言われた。

怪しんでいたら、部屋の中も確認させてくれたよ。

それで本当に家には居ないと分かった」




「行き先、聞いてみた?」




「もちろん。でも教えられないって。

しっかり口止めされたみたいで、しつこく食い下がったけど、ダメだった。

『教えてあげられなくてごめんなさい』って…泣きそうな顔するから、それ以上何も言えなかった……


分かった事は、大ちゃんは実家に居ないと言う事と、僕らに居場所を絶対に知られたくないと思っている事だけ。


手紙に書いてある通り、東京には居ない気がするな…何と無くだけど」




「………」





流星の居場所を、家族は教えてくれない。



実家には居ない。
東京から離れた所に居る。



それはどこ?



考えてみても、瑞希君も私も見当が付かなかった。



流星の事…理解しているつもりでいたのに…

行きそうな場所の一つも思い付かないなんて…



私は今まで流星の何を見てきたのだろう……





「それから、学校に確認したら、休学届けが出されていた」