ラベンダーと星空の約束

 


母が高級魚“鮭児(ケイジ)”の冷凍切り身を持たせてくれたから、贅沢に鮭児の石狩鍋にしよう。



大根と人参はあったと思うけど、豆腐としらたきとネギと白菜を買いに行かなくちゃ。




空港の到着口から出て少し歩くと

「紫ちゃん」と呼ばれ振り返った。




「瑞希君?何でいるの?」



到着時間を伝えてもいないし迎えを頼んでいないのに、

私を待っていた瑞希君が、ベンチシートから立ち上がり近づいて来た。




瑞希君の容貌は一週間前と僅かに違っていた。



髪の色が少し明るくなり、緩くウェーブの付いたハニーブラウンのツインテールが肩先で揺れている。



チークと口紅の色も変えたみたいだし、お年玉で買ったのか、コートも新調している。



ファーティペットとリボン付き短め丈の、白いラブリーなコートは、

彼のスラリと華奢な足を目立たせ、モデルの様に見える。



顔は文句なしに可愛いし、バックやブーツなど小物類のセンスもいい。



う〜ん、今日の瑞希君はいつも以上に可愛い。

まるでファッション雑誌から飛び出してきたみたい。




もしかして、ニューアイテムを早く見せたくて、空港まで迎えに来たとか?



そうかも知れないし違うかも知れないけど、

理由はどうあれ、迎えに来てくれた事で、一人で人混みに揉まれる恐怖心が消えホッとした。




「迎えに来てくれるなんて思わなかったよ。

一人で何とか帰ろうと思ったけど、お土産を持たされて手荷物が一つ増えたから大変だったんだ。

ありがとう!」




「大ちゃんに頼まれたんだ…迎えに行ってくれって……」




「そっか。

一人で帰れると思うって言ったのに、流星は心配症だよね。

流星には迎えに来ないでって言っておいたんだ。

空港に来たせいで、今度は違う型のインフルエンザに掛かったなんて言ったら、笑えないもんね。

流星もう柏寮に帰ってる?」




「…紫ちゃん…タクシーの中で説明するから、行こう」




「何でタクシー?お金が勿体ないよ。

タクシー使うなら、迎えに来てくれた意味も分かんない…」




「いいから!

それも含めて説明するから、とにかく僕の言う通りにして!!」




「…瑞希君…?」




「あ…ごめん……
行こう、荷物持つよ…」