去年は見れなかった、白銀の大地に触れたいとも思う。
富良野に帰ろうかな。
柏寮にいられる日数はどんどん減って行くけど、流星がいない柏寮は淋し過ぎるもの……
「うん、私も帰る。
流星のいない一週間だけ富良野に帰る。
あっでも…今から飛行機のチケット取れるかな…
北海道は冬の観光シーズンだから…」
「大丈夫。さっき空席状況を確認したら、明日の便の空席はあったよ。
新千歳空港行きは満席に近いけど、旭川空港行きはまだ大丈夫」
私の帰省については、たまたま話しの流れで持ち出したと思っていたのに、
飛行機の空席状況を確認した上で言ってたんだ……
用意周到と言うか何と言うか…
悪い意味じゃないけど、流星って結構策略家だよね……
思い付きで行動する大樹とは本当正反対。
スマホから明日の昼頃の飛行機の便に予約を入れ、家にも電話し、旭川空港までの迎えを頼んだ。
冬期間はうちの店は閉めているから、暇な父にいつでも車を出して貰える。
大樹にも明日帰る事をメールして、スマホをポケットにしまった。
「富良野に帰ったら、柏の木のどんぐり埋めるの?」
「かなり雪が積もってるから無理だよ。
雪を掘り返しても、土が凍って固いだろうし。
それに流星と一緒に埋めたいから。
私が卒業して一緒に富良野に帰ってからでもいいよ。
いつか一緒に埋めようね?」
「…そうだね……」
柏寮の柏の木が切られても、富良野の大地にあの柏の子供達がすくすくと育ち、何十年後かには森になる。
大きく育って青々とした葉をそよがせる、柏の森を想像していた。
柔らかい木漏れ日の中を散歩する私の隣には、年齢を重ねた流星の姿が……
流星だけじゃなく、私達の子供や孫の姿まであったりして。
遠く幸せな未来に思いを馳せ、一人ニヤニヤと頬を緩ませていると、
「やらしー笑い方してる…どんなエロい事考えてた?」
と意地悪な瞳が私を覗き込む。
「違う! エロくないよ!健全な妄想だよ!」
「ハハッいいよ、隠さなくて。
紫は実際エロいと思うよ?
今度鏡で、夜の顔見せてあげようか?凄く妖艶でエロいから」


