「流星のお父さんが心配してるの…」
「病み上がりの体の心配半分と、淋しさ半分て所じゃないかな。
今回は迷惑かけたし、父さんが望むなら、実家に戻って親孝行しようかと思ったんだ」
親孝行……
久しぶりに実家に帰ってきた息子がすぐに入院してしまい、
流星のお父さんも淋しかったのだろう。
親子水入らずで話したい事も沢山あるのだろう。
流星のお父さんの気持ちも何と無く分かるし、実家に帰る理由におかしな所はない。
入院を私に隠した時みたいに、今回は嘘を付く必要もない。
だけど…聞いてみたくなる。
「それって本当…?」って……
私の右手の甲を撫で続ける彼の手に左手を重ね、その動きを止める。
重なる手に視線を落とす彼の顔を、覗き込む様に見上げた。
「流星……実家に帰るその理由…本当…だよね?」
「あれ…今回の事で、俺の信用がた落ち?」
「そう言うのじゃないけど……
もうすぐ柏寮から出なくちゃいけないし、一緒に柏寮で過ごせる日数が……」
「柏寮からの引っ越しは今月の15日。まだ十分に時間はあるよ。
一週間実家で過ごしたら柏寮に戻る。
そうしたら最後の5日間は、荷造りしながら柏寮に別れを言える。
それならいいだろ?」
「一週間…また流星と離れるんだ……」
「淋しい?それなら紫も一週間フラノに帰ればいいんだよ。
俺の事で正月帰ってないんだろ?
君の家族もきっと淋しがってるよ。
おじさんもおばさんも…大樹も…」
そう言われると家族の顔が頭に浮かび、私も帰りたくなってきた。
母は私が居ないからと言って淋しがる人柄ではないけど、
年末年始、娘の帰りを待っていた父は、淋しさを感じていると思う。
大樹もきっと帰れないと聞いて、がっかりしたんじゃないかな…
アイツなら舌打ちする位で、言葉には絶対出さないけどね。
青空はアレかな…
もう姉を恋しがる年齢ではないけど、
帰ったら、冬休みの宿題を手伝って貰えると喜ぶだろう。


