ラベンダーと星空の約束

 


 ◇◇


翌日もその翌日も、午後の面会時間の始まりに合わせ、流星の病院に通った。



柏寮の徒歩3分程の距離のバス停から、病院の真ん前まで走るバスがある。

瑞希君の付き添い無しでも何とか一人で来れた。



昨日は流星の洗濯物を取りに来た美沙子さんに初めてお目にかかり、挨拶する事も出来た。



美沙子さんは30代前半くらいで、ふんわりした雰囲気の可愛らしい女性。



流星の母と言うより、姉にしか見えない。



病室に現れた彼女の姿を見て、繋いでいた手を急いで外す私達に、

「あらあら、ウフフ」と楽しそうに笑いかけ、

簡単な挨拶を交わし、洗濯物を持ってすぐに帰ってしまった。



そして「今日は行かないから彼女によろしく!」と

流星のスマホにハートマーク付きの短いメールが入ったらしい。



家族に気を遣わせてしまった……



まぁ、明日退院だから、今日取りに来なければならない洗濯物もないのだろうけど。




柏寮から作って持って来た、だし巻き卵焼きを、幸せそうに頬張る流星に、明日の退院の話しを聞く。




「流星、明日の退院何時頃?

柏寮に運ぶ荷物、どれくらいあるのか聞いて来てって言われたんだ。

瑞希君、手伝いに来るって言ってたよ?」




「や……それがさ……」





流星は少し言い難そうに

「退院したら暫く実家に居るから…」と言った。




すぐに柏寮に戻らない……


一昨日久しぶりに会えた私に、

「早く柏寮に帰って思う存分愛し合いたい」

と、赤面する台詞を言ってたのに……



やっと柏寮に帰れるって…私も流星自身も喜んでいたのに、どうして?



だし巻き玉子に伸ばしていた箸を置き、私の手を握りながら「ごめん…」と謝った。



「父さんがさ…
心配だから暫く家に居ろって…」