私…泣いてる…?
流星に言われ、流れる涙にやっと気付いた。
何で泣くのかと聞かれたら…
恐怖から解放され、深く安堵したからだと思う。
でも、言えない。
怖かったなんて言えない。
弱さを見せれば、流星はきっとまた優しい嘘をつく。
だから、涙の理由は聞かないで……
首を横に振り、両手で顔を覆った。
涙を止めようと試みるけれど、一度決壊した涙腺は思う様に修復できない。
涙を隠す両手はすぐに外され、ベットに縫い付けられた。
滲む視界に映るのは…
何かに怯える流星の顔……
「紫、目を逸らさないで。
俺を見て、俺の目を見て」
「………」
「どうして泣いてる?
……… もしかして… 怖かったから…?
俺が入院した事が怖かった…?」
「………」
返答する訳にいかない。
嘘を付きたくないけど、怖かったとも言えない。
何も答えず黙って涙を流す私の瞳を、流星は探る様に見つめ続け……
それから、ふっと頬を緩め、悲しい笑い方をする。
「隠さなくていいよ…正直な気持ちを言ってくれていい。
怖かったんだよね?
俺が死ぬんじゃないかと考えて、怖がってたんだよね?
ごめん…怖がらせてごめん……駄目だな…俺……」
流星は乱れた私の服を直し、抱き起こして腕の中に包んでくれる。
涙の止まらない私の背中をポンポンと叩き、子供をあやす様に頭を優しく撫でてくれる。
その手が余りにも優しいから…
愚かにも私はまた甘えてしまう。
流星に抱き着き、肩を震わせて、泣き声を漏らしてしまう。
「もう大丈夫だから…心配ないから…」
そう言ってギュッと強く抱きしめ、安心させ、
それからもう一度
「怖かった?」と聞くから…
今度は頷いてしまった。


