ラベンダーと星空の約束

 


流星は「大丈夫」だと言った。



今の所何の症状もないし、ウイルス99%カットのマスクを2枚重ねで装着して看病していたから、大丈夫だと言った。



私の不安と自責の念を取り除くため、何度も何度も「大丈夫」と言ってくれた。



それでも不安は無くならない。



以前、流星から聞いた言葉が頭の中を流れて行く。



『少しの風邪も小さな怪我も命取りになるから、感染には要注意なんだ……』




移植された心臓を拒絶反応から守るため、免疫抑制剤は欠かせないけど…


もしインフルエンザに感染したらどうなるの?


流星の弱まった免疫力で、ウイルスに勝つ事が出来るの…?



私達より遥かに弱い免疫力…

ウイルスの増殖力の方が勝っていたら…流星は……



電話を切った後も、不安で怖くてたまらなかった。



嫌な予感がする……




 ◇◇


その翌日、学校閉鎖の4日目、

流星が心配でしつこい程に電話を掛け、笑われてしまう。




「ハハッ!大丈夫だって。

熱もないし、食い過ぎだって言われるくらい食欲あるし、絶好調だよ。

俺の事より今は自分の心配して。

熱が下がったからって、あまり動き回ったらダメだよ?

掃除や洗濯は、完全に回復してからまとめてやればいいから」




「うん……」




「今日クリスマスイブだね。

君も瑞希も治ったら、チキンとケーキを買ってきて、3人で遅れたクリスマスを祝おうか」




「うん!」





嫌な予感は気のせい…?

元気そうな流星の声に胸を撫で下ろし、不安は徐々に薄らいで行ったけど……



その翌日、雪の降らないクリスマスの日、

午前中に二度電話を掛けたが流星は出ない……



再び沸き起こる不安の中、昼過ぎになってメールだけ返ってきた。




『ごめん、美沙子さん(俺の新しい母さん)の買い物に付き合って外出してるから、電話に出られない。

今日も熱はないから大丈夫だよ。心配しないで。


メリークリスマス紫!

プレゼントは柏寮に帰ってから渡すよ。楽しみにしていて』