掴まれた腕を振り払い、流星から距離を取った。
「ダメだって言ってるでしょ?
…はぁっ…お願い…実家に帰って。
流星に移したら、本当シャレにならないから…はあっ…」
「けど…」
「大丈夫!特効薬貰ってきたから。
これ飲めば、すぐに熱が下がるんだって。
あっ熱は下がっても、まだ体内にウイルスがいるから、5日間は人に移す危険性があるって言われた。
だから5日間は柏寮に帰って来ないでね。
大丈夫だから…そんなに心配しないで。
私、熱には割と強いんだ。
自分の事は自分で出来るよ。
だからお願い…実家に帰って…
…電話するから…はぁっ」
「…… 分かった…」
流星は渋々了承し、荷物をまとめに自室に戻って行った。
良かった…
心からホッとして、私も自室に戻ると、薬を飲みベットに潜り込んだ。
熱を出したのって、久しぶり……
去年階段を転げ落ち病院に運び込まれた時を抜かしたら、
こうやって熱を出して寝込んだのは、いつ以来かな……
それは思い出せないくらい前、きっと小学生の時だろう。
私って健康優良児だったのかも。
◇
少し眠り目を覚ますと、部屋中は薄暗く夕方になっていた。
通りを走り去る車のエンジン音が聴こえる以外、物音はせず、柏寮は静かだった。
流星はちゃんと実家に帰ってくれたんだ。
良かった……
エアコンはなく、唯一の暖房器具がこたつという私の部屋は、外気と変わらない程に寒い。
でも熱が上がり切ったせいで悪寒は消え去り、汗ばんで体が熱かった。
枕元に置いてあった体温計で熱を測ると、39度2分。
予想より高く少し驚いた。
抗インフルエンザ薬を服用したら早く熱が下がると言われたのに……
早くってどれくらい?
そう聞いておけば良かった。
「よいしょ」と体を起こすと、頭痛が強くなり顔をしかめた。
何も食べたくないけど、水分だけは取らないと…
夕方分の薬も……
それから汗でぐっしょり湿った服も着替えたい……


