熱が出てまだ数時間なのに、インフルエンザ検査はしっかりと陽性の反応が出て、これはマズイと焦る。
もし流星にうつしてしまったら……
免疫力の低い流星と私が同じ空間で過ごす訳にいかない。
同じ空間にいたら、きっと移してしまう。
でも、神奈川に実家がある瑞希君とは違い、こんな状態で私はすぐに富良野には帰れない。
私は帰れないと言うことは…流星に実家に帰って貰うしかないよね。
流星の実家は柏寮からバスで30分程の割と近くにある。
再婚したばかりの父親とそのお嫁さんを気遣かって、
高校入学と共に、寮に住む事を決めたと言っていた。
一緒に住んではいないけど、新しい母親はとても優しく、流星との仲も良いらしい。
たまに実家に顔を見せに帰っているし、突然今日から数日間実家に泊まると言っても、流星も家族も困る事はないはず。
それが一番いいと思った。
私が治るまでは、流星に実家に帰って貰おう。
抗インフルエンザ薬を処方して貰い、5日間の外出禁止を指示された。
帰りのタクシーに乗る前に流星に電話で状況を説明し、すぐに実家に帰るようお願いした。
だから、柏寮に帰っても誰もいないと思っていたのに……
高熱でふらふらになりながら玄関ドアを開けると、
マスク姿の流星が、心配そうな顔をして壁にもたれ、私を待っていた。
「何で居るのよ…
早く実家に帰って…はぁっ…」
体が怠いし関節も痛い。
すぐに部屋に入って休みたいのに、流星がそこにいるから中に入れない。
閉めた玄関ドアを再び開けて、出て行こうとして…流星に腕を掴まれた。
「帰らないよ。
こんな高熱の紫を、一人にしておける訳ないだろ」
心配してくれる気持ちは嬉しいけど、こればかりは困る。
流星の命に関わる問題だから譲れないよ。


