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12月、期末テストが終わり冬休みまで後10日という頃、インフルエンザが流行りだした。
夕方のニュースでは、うちの高校近辺の小中学校で、学級閉鎖が相次いでいると報道していた。
流行がうちの高校にやって来るのも時間の問題…
そう思って警戒しているとやはり欠席者が増え始め、
数人だった欠席者は翌日には二倍になり、その翌日にはさらに倍と、
解り易い一次関数のグラフ並に増加の直線を辿る。
こうなると数クラスが学級閉鎖を余儀なくされ、
とうとう冬休み一週間前の今日から、5日間の学校閉鎖が決まった。
最近までリハビリがてら休日は流星と外出する様にしていたけど、
インフルエンザの季節に入ると、彼は極力外出を控えなくてはならない。
日用品の買い物も、これからは瑞希君に付き合ってもらおうかな…
そんな事を考えていたのに、学校閉鎖の初日、
瑞希君がインフルエンザで熱を出してしまった。
「大ちゃんにうつす訳にいかないから、治るまで実家に帰るね」
瑞希君は熱でふらつきながらそう言うと、
実家の神奈川から迎えに来た母親の車に乗り、帰って行った。
心臓移植を受け免疫抑制剤を一生服用し続けなければならない流星にとって、インフルエンザの感染力は脅威。
マスクに手洗いうがい、ワクチン接種と対策はしているけど、
身近な瑞希君が感染した事で、私の中に焦りが生まれた。
瑞希君もワクチン接種を済ませていた。もちろん私も。
それなのに発熱するなんて……
今年のインフルエンザは質(タチ)が悪いのかも知れない。
5日間の学校閉鎖が終わっても、流星は登校しないでそのまま冬休みに入った方がいいんじゃないだろうか。
インフルエンザウイルスの潜伏期間は1〜3日。
既に流星も感染していたらどうしようなんて考え、不安になった。
とにかく私が出来る最大限の事をしよう。
小まめな換気と加湿と掃除、それから栄養のある物を食べさせて…
そんな風に流星の心配ばかりしていた私が、学校閉鎖の3日目に体調を崩してしまった。


