◇◇
翌朝、まだ夜の明け切らない薄暗い中で目が覚めた。
ベットサイドの時計を見るともうすぐ5時になる所。
隣で眠る流星はまだ深い夢の中で、規則正しい寝息を立てている。
背中の素肌に回された彼の腕をゆっくり擦り抜け、起こさない様気をつけながらベットから下りた。
随分と早くに目覚めてしまった。
昨夜は柏寮や流星の事を考えていたら、寝付くのがいつもより遅かった。
それなのに深く眠れず、夢の中でもあれこれ考えていた気がする。
そして眠気はあるのに早起きしてしまい、再入眠は難しそうだ。
流星が3人で暮らせる道を作ってくれたから、
柏寮を出されてからの新たな住まいと言う、大きな心配事は解決したけど、
気になることはまだ残っていた。
軽くシャワーを浴び制服に着替え、コートを羽織って外に出た。
車も人通りもない早朝の住宅街はシーンと静まり返り、
一瞬、無人の世界に迷い込んでしまった気がした。
11月末の早朝の空気は深々と冷え込み、冬の到来を感じさせた。
冷たいけど、凛と澄んで心地好い。
朝の光の粒を纏い始めた新鮮な空気に身を浸し、大きく伸び上がる。
それから、柏寮の玄関を出て、狭い庭へ移動した。
柏寮の西側の狭い庭は、周囲を高層マンションに囲まれ、朝日がその一角にしか当たらない。
ゆっくりと歩む足元では、落葉した柏の茶色い枯れ葉がカサカサと乾いた音を立て、踏まれる度にクシャリと壊れていく。
枯れ葉の間に、茶色の帽子を被った可愛いどんぐり達も顔を覗かせていた。
柏の古木に歩み寄り、幹に触れながら上を見上げた。
黄葉した葉は落ち切らず、まだ沢山枝にぶら下がっている。
その高い上の方の枝にだけ、柏寮に遮られなかった朝日が降り注ぎ、
枯れ掛かった黄色の葉を黄金色に輝かせていた。
綺麗……
でも、この柏の木も、柏寮の終わりと共に切り倒されてしまう……


