その時、流星のスマホが短く鳴って、メールの着信を告げた。
「さすが…早いね…」
そう呟いてメールを開いた流星は、文面を一読し、ニヤリと笑った。
「先生の昨夜の相手って、
桃香ちゃん?」
「…っ!!!」
「新宿〇丁目の××ビル6階、ジュエリカのキャバ嬢、桃香ちゃん。
先生って、ぽっちゃり系がタイプなんだ。
昨日と同じワイシャツで襟元に口紅付けたまま御出勤って事は、桃香ちゃんて枕営業してるん……」
「だっ大文字!!
おおおお前達は………もう帰ってよし……」
◇
その後、進路調査表を書き直す事なく、無事に帰された私達。
柏寮に着くと14時を過ぎていて、お腹がぐーぐー鳴っていた。
流星の部屋で私の作ったペペロンチーノを3人で食べながら、
3-Fの担任の弱味を、どうやって仕入れたのか聞いてみた。
「ああ、初めから知っていた訳じゃないんだ。
あの先生の様子を観察してたら、いつもとワイシャツの具合が何か違うなと思ってさ、
微かに甘い香水の匂いもしてたし、女関係で何かあるんじゃないかと思って鎌掛けてみたら、分かり易い反応してくれたしさ」
「香水…?
瑞希君気づいた?」
「いや、分かんなかった」
「俺、甘ったるい香水の匂いは好きじゃないから、気付いたのかな。
紫みたいな、爽やかなラベンダーの香りがいい」
流星はそう言って、隣に座る私のうなじに鼻先を埋めてきた。
そんな堂々と匂いを嗅がれるのは恥ずかしい。
流星の鼻を摘んで抵抗していると、
ローテーブルの向かいに座っていた瑞希君が寄ってきて、流星と同じ様に私の匂いを嗅ぎ出した。
「もうっ!
2人して嗅がないでよ!!」
「紫ちゃんからラベンダーの香りなんてしないよ?」
私から顔を離した瑞希君は、不思議そうに首を傾げる。


