苦しむその顔に向けて瑞希ちゃんが手を出すと、
彼はワイシャツの胸ポケットから小さな鍵を取り出し無言で渡した。
瑞希ちゃんは手の平で鍵を遊ばせながら、開けっ放しのドアの中に声を掛けた。
「リカちゃん、悪いけど大ちゃんの面倒みてやって?」
「ええー…でもリカー、これから彼氏と遊ぶ約束してるしー、もう帰るんだけどー」
私もドアの中に目を向けた。
リカちゃんと呼ばれたバッチリメイクの女の子は、
裸の体を隠すことなく、ベットの上に座り口を尖らせていた。
えーと…
この女の子がこれから彼氏と会うと言うことは…
大ちゃんは彼氏ではないということで……
じゃあどんな関係?セフレってやつ?
この状況について行けず目を丸くしているのは私だけ。
瑞希ちゃんは特に驚いた様子もなく、彼女と会話を続けている。
もしかして…東京ってこういうのが普通にあるの…
驚き過ぎている私の方がおかしいのだろうか…
そんな感想を持ってしまう。
まだ苦しげに床の上を転がる大ちゃんに、視線を落とした。


