私の反応を楽しむ2人。
困るけど…
こんな風に、私達の関係性でからかう様になったと言う事は、
いい方向に落ち着いたと言う事で、喜んでいいのかも知れない。
「相変わらず、欲張りな奴」
大樹は呆れ顔で文句を言う。
「ちょっとちょっと紫ちゃ〜ん?
こういう時は、彼氏だけを応援するもんでしょ〜?
あ〜嫉妬でおかしくなりそう。
だから…今晩は寝られないと覚悟しといてね」
流星は艶のある視線を私に流し、大樹の前なのに平然とヤラシイ事を言い放った。
流星が的前に立つ。
ゴム弓を引く姿しか見ていないから、本物の弓を構える姿は新鮮に映る。
大樹は倉庫の壁にもたれ腕組みしながら、静かに流星を見据えていた。
誰も何も言葉を発しない空間で、秋を告げる虫の音だけが、そこかしこから聴こえてくる。
3人の影が東へと長く伸びている。
夕日が斜めに差し込み、流星の焦げ茶色の髪の毛を黄金色に染めていた。
流星の射は一つ一つの動作が基本に忠実で、
真面目な性格が如実に顕れていた。
細部にまで意識を張り巡らせているのが伝わってくる。
いつもの柔らかい雰囲気は封印され、
ピンと張り詰めた空気の中に、研ぎ澄まされた集中と緊張を感じる。
一射目は、綺麗に的のど真ん中に命中した。
よく一週間足らずでこんなに綺麗な射型を物に出来たと、改めて感心していた。
流星は10射中8射を的中させ、「8割目指す」と言った目標をクリアして見せた。
次は…大樹。
流星から弓を受け取り、ゆっくりと的前に立つ。
一度目を閉じ深呼吸する。
再び目を開くと、そこから先は…
動揺も怖れも葛藤も感じない、いつもの大樹の射だった。


