何度も練習して、頭じゃなく体に染み込ませるタイプの大樹とは違い、
流星は頭脳派だから、形だけなら理解してすぐ、出来てしまう…
妙に納得して感心しつつ、
「マグレかもしんねーから、もう一回やってみろ」
と言う大樹の前で、さっきと寸分違わぬ型を披露する流星に、感嘆の溜息をついていた。
「文句の付け所が見つかんねぇ…くそっ…」
大樹なりの褒め言葉が出た後は、ゴム弓の練習に入った。
道具なしで形を真似るのとは違い、今度は一発で合格ラインに届かない。
ゴム紐を引っ張る流星の動きに、大樹は細かくチェックを入れる。
「弓を引くと言うより、弓手を押して引く意識でやれ。
手の内! 違う、こうやんだよ」
「ストップ。打ち起こし終わってから肩を上げんな」
「妻手(メテ)の手首に力を入れるなって言ってんだろ、矢があったら暴発してるぞ」
汗を滲ませながら、ゴム弓を引く流星。
頭で理解していても、理想の形でゴム弓を引くのは、初心者には相当難しいらしい。
大樹に注意を受けながら何度もゴム弓を引く流星の動きが、
さっき私達を驚かせた美しい射型とほぼ重なって見えたのは、
それから1時間半後の事だった。
大樹の口から合格の言葉が出て、
流星が「ふぅー」と長い息を吐き出した。
「お前マジですげぇな…弓道の才能あるよ。
東京で本格的に習ってみてもいんじゃねーの?」
「そう?以外と相性いいみたいだな……
大樹、ゴム弓もこれでクリアだろ?本物の弓を持たせてよ」
「あ゙? 向いてるって分かったんなら、もういいじゃねーか」
「良くないよ。本物に触ってみたいんだ。
次のステップ…素引きだよね?それ、教えて」
「ダメだ。今日はもう終わりだ。
普段使わねー筋肉使ってるから、腕も背中も相当痛いだろ?
そんな状態で素引きしたって、得る物は大してねーよ」


