大樹はヘッドホンしながら仰向けで寝ていた。
ベット横のCDコンポは一仕事終えた後みたいで、12の数字をディスプレイに表示させ沈黙していた。
大樹の耳からヘッドホンを外しても
「んー…」と唸り寝相を変えるだけで起きない。
「大樹、起きて。
ねぇ、起きてってば」
肩を揺さ振ってみるけれど
「うるせ…」とムカつく寝言を言われ、背を向けられてしまった。
「起きろー!!」
耳元で大声を出して背中を叩くと、背を向けたまま顔だけ上を向き、覗き込む私を薄目で見た。
「大樹起きた?
あのね、お願いが…」
「紫……ああ…夢か…」
「夢じゃないよ!まだ寝惚けてるの?
用事があるから起きて!」
「ジャガイモならそこにあっから、勝手に持ってけ……ぐー…」
「ジャガイモ貰いに来た訳じゃないって!」
大樹を起こすのは大変だ。
一度目を開けても、寝惚け状態がしばらく続き、中々スッキリ目覚めてくれない。
「ジャガイモ…」「人参…」「とうもろこし…」
寝惚け続ける大樹と悪戦苦闘する私を見て、
流星は腕組みしながら、壁に背をもたれ笑っている。
「大樹!いい加減に目を覚ましてよ!
バカ!アホ!ハゲ!起きろーー!!」
「ハゲてねぇし……
るせーな…」
バカとアホは否定しなかった大樹は、寝惚けたまま、私の腕を掴む。
掴んだ腕をグイッと引っ張るものだから、
バランスを崩した私は、そのまま大樹の胸に飛び込んでしまった。
筋肉質の両腕が私をしっかり抱え込み、厚くて硬い胸板に顔を押し当てられた。
私を抱え込んだままゴロリと横向きに寝相を変え、足まで使って私の動きを封じる。
「大樹…苦し…離して…」
「お前も…寝ろ…ぐー…」
「大樹!」
「ぐー…ぐー…」
再び深い眠りに落ちそうな大樹には、私の言葉は子守唄にしか聞こえていない。
もがきながら厚い胸板に押し当てられた顔を何とか横に向けると、憮然とした表情の流星と目が合った。
流星は床に落ちていた分厚い漫画雑誌を一冊拾い上げ、ゆっくりと近づいて来る。
そして…
ベット横で足を止め、雑誌の角で大樹の頭をひっ叩いた。


