ラベンダーと星空の約束

 


観光日和の空模様。

だけど、ラベンダーが終わってしまった事と、

昨日降った大雨で地面がぬかるんでいるせいか、

昼時に入っても客足が伸びなかった。



今、軽食コーナーのテーブルには、5〜6人のお客さんしか居ない。

土産物コーナーなんて誰も居ない。




秋に近付き、柔らかくなった陽射しが差し込み、退屈さと相まって私を眠りに誘う。



レジ番をしながら椅子に座っていると、ついうとうとしそうになり、慌てて頭を振り眠気を飛ばそうとした。



昨夜は流星が夜這いに来たから、寝不足で…



欠伸(アクビ)を噛み殺していると、大きな手が伸びてきて、頬っぺをギュッと摘まれた。




「痛っ! 大樹、何すんのよ…」




「てめぇこそ、店ん中でたるんだアホ面さらしてんじゃねーよ。

今白目むいてたぞ?怖え〜」




「大樹にだけはアホ面なんて言われたくないよ!

私は時々でも、あんたは常にアホ面だからね?」




「何だと?…ったく相変わらずてめぇは可愛くねー事言いやがって…

俺もう上がるから。今日暇だし、おばさんに帰れって言われた」




「お疲れ。これから畑?」




「いや、昨日の雨で泥々で畑には入れねー。

何すっかな…昼寝でもするか…」




「弓は?」





何気ないその問いに、大樹の瞳が揺れるのが分かった。



まさか……

立ち上がり、大樹を至近距離で見上げた。



簡易椅子が後ろに倒れ乾いた音を立てるが、大樹から目が離せなかった。





「大樹…最近弓…引いてる?」




「…弓は…辞めた」




「何で!? 私のせい…?」




「お前のせいな訳ねーだろ。
気にすんな。じゃあな」




「大樹!待っ…」





慌てて引き止め様としたが、いつの間にか土産物コーナーには数人のお客さんがいて、

クッキーの箱をレジに出されたから、追い掛けられなかった。



大きな背中が店の自動ドアを出て行く。

それを横目で見ながらレジを打つ。




大樹が弓道を辞めた……


どうしよう…私のせいだ……