うっかり白状してしまい、瑞希君は頭を抱え、流星は頬を引き攣らせていた。
「へぇ…スカート捲られただけ…ね…
因みにスコート履いてる?履いてる訳ないよな、紫は見学だしな…
“生パンツ”見せてたんだアイツに……」
「あ…の…チラッとだけ…一瞬だけだよ?
多分、何色パンツかも分からなかったんじゃないかなー、アハハッ…」
「…… 試合後、アイツと握手した時、“パープル?”ってニヤッと笑われたけど?
今履いてるのは、この前ネットで購入して、俺がプレゼントしたやつ?
薄紫色のレースのパンツ…
アイツの目にしっかり焼き付いたみたいだね」
た、田島君…流星にチクらないでよ…バカ。
もうこうなったら、素直に謝るしかない。
何で私まで謝らなくちゃいけないのかって気もするけど、
流星のこめかみピクピクしてるし…とにかく謝った方がいい気がする。
瑞希君と2人でペコペコしていると、流星が小さく溜息をついた。
それから「瑞希、手伝って」と言い、
フェンスの編み目に唇を突き出してくる。
え…まさか…
ここでキスしろと…?
周囲を見回す。
試合が終わっても、女子達はまだ流星に熱視線を送り続けていた。
田島君も遠くから、こっちを見ている…
一歩下がってみた私だけど、瑞希君に頭をガシッと掴まれ、フェンスに押し付けられてしまった。
鼻がフェンスにぶつかって少し痛い。
唇は流星に奪われ、すぐに唇を割り温かい舌先が侵入してきた。
「ん〜〜!!」
もがいてみたけど、瑞希君は押さえる手の力を緩めてくれない。
しかも
「今夜の焼肉代は僕が払うから頑張ってー!」
と、おかしな応援をしてくれる。
恥ずかしさの中、流星の濃いキスはどんどん熱を帯び…
もしかして、これはお仕置き的な意味が含まれる…?
流星、相当怒ってる…?
良く分からないし、これに関して私は決して悪くないと思うけど、
何度でも謝るから…もう許して欲しい……
初夏の気持ち良く晴れた青空の下、
悲鳴やヤジや歓声の混ざる物凄く騒がしいテニスコートで、
流星は、飛んできた先生に怒られるまで、唇を離してくれなかった……