流星が人並みにスポーツが出来るなんて、思った事はない。
むしろ下手だろうと思っていた。
生まれつき心臓病を抱えて生きてきて、
17年間スポーツとは無縁の生活をしていた人が、
やってみたらスポーツ万能だったなんて言われたら驚きだよ。
そんなの有り得ないよ。
それなのに、格好悪い姿を見せたくないなんて…
どうしよう…
そんな事を思う流星が、可愛く見えてしまう。
少し伸び上がり顔を近付ける。
形の良い唇にそっとキスをして、それから心臓の位置に耳を当てた。
トクトクと私より少し速いリズムを刻む、彼の心音が心地好い。
「良かった…」
「何が?」
「流星がまだ、心臓移植を受け止めていないんじゃないかって…心配しちゃった」
「それはもう大丈夫。
走っても心拍の上昇は相変わらず遅すぎるけど、
それでも前みたいに、心臓が他人行儀に思える事はないよ。
この心臓は今は確かに俺の物…
俺の物になってくれて素直に喜びを感じるし、言葉では表せないくらいに感謝してる。
こんな風に思える様になったのは紫のお陰だよ。
君にも感謝してる…ありがとう」
流星の胸から顔を離し、笑みを浮かべて彼の唇にもう一度キスをした。
「感謝してるなら、私のお願い聞いてくれる?」
「お願い?まさか…」
「うん!流星がスポーツしてる所見たい!
体育祭絶対参加で!」
「や…だからさ…俺の話し聞いてたよね?」
「聞いてたよ。でもどうしても見てみたいの。
大丈夫だよ。
例え流星が、自分の右足に左足を引っ掛けて転んだって、
ラケットに穴が開いてるのかと思うくらいに空振りしたって、
間違えてボールを自陣のゴールに蹴り入れたって、
格好悪いなんて思わないよ。
スポーツしている事実だけで、ときめいちゃうと思う」
「あのさ…俺そこまで酷くないから…」
流星は渋々、体育祭に参加すると言ってくれた。
種目はまだ未定。
私は競技に参加出来ないけど、
体育祭が楽しみになった。
流星の初体育祭記念に、ビデオを撮りたい所だけど…
流石にそれは怒られそうだから、止めておくか…


