その後、ニヤニヤする瑞希君と、目だけ笑ってない流星は、
自分のクラスへと戻って行ったけど…
流星があんな事するから、
1時間目の授業は物凄く忙しかった。
「弓道の男の子は?
まさか二股?」
とか、
「真面目になったって噂だけど、本当にあの人大丈夫なの?」
とか…
真由と千絵梨から代わる代わる回されてくる、メモ用紙の質問に答えるのが忙しく、
ただでさえ左手で字を書くのが大変なのに、1時間目は殆どノートを取れず仕舞いだった。
◇
お昼休みになった。
迎えに来た流星と一緒に、食堂に向かった。
右手は動く様になったとは言え、箸さえ持つ力がないので、左手だけでお弁当を作るのは難しい。
その内料理もどこまで出来るかやってみようと思うけど、取り合えず今日の所は食堂で食べる事にした。
流星は私を迎えに来る前に先に食券を買ってくれていて、
急いで行かなくても人気の定食にありつける。
ゆっくり歩き、食堂に着いた頃には混雑のピークが過ぎ、落ち着いて食べられそうだった。
人が疎(マバ)らになった長テーブルで、流星と並んで唐揚げ定食を食べていると、お皿を片手に慶子さんがやってきた。
「ほら、これ退院祝いだよ。
しっかり食べて頑張んな」
私のお皿に追加して乗せてくれた物は、海老フライとマカロニサラダとゆで卵。
「慶子さ〜ん、俺の分は〜?
俺にもサービスしてよ〜」
「大ちゃんは関係ないだろ。
サービスして欲しけりゃ、入院して退院しておいで。アハハハッ」
豪快に笑いながらも、優しい彼女は、流星のお皿にも海老フライを一本乗せてあげている。
慶子さんは厨房に戻らず、私の向かいの椅子に座った。
頬杖を付き、私の食べる様子をじっと見ている。
「あんた大変だったねぇ。
三角関係のもつれの末に血みどろで死にかけたんだって?
全くこの男はろくでもないねぇ」
「あっ 俺、慶子さんには嘘付けないから言っちゃったよ。ごめん」


